続かなかったのは、たぶんあなたのせいではありません
会計ソフトの多くは、複式簿記という仕組みを前提に作られています。取引を「借方」と「貸方」に分けて記録し、勘定科目を選び、仕訳という形に直していく方式です。これは会計の世界では標準的なやり方で、正しく使えば強力です。
ただし、これを理解するには前提知識がいります。簿記を学んだことがない人がいきなり画面を開くと、最初の1件目から「これは何費で、どっちに入れるのか」で止まります。止まった状態で数日経つと、溜まったレシートの山が心理的な壁になって、さらに遠ざかる。これはよくある詰まり方で、意志の強さの問題ではありません。道具が想定している利用者と、実際の利用者がずれているだけです。
そもそも全員に複式簿記が必要なわけではありません
ここが意外と知られていないのですが、確定申告をする人全員が複式簿記をしなければならないわけではありません。
青色申告特別控除の最大額を受けるには複式簿記による記帳が必要です。一方で、青色申告でも控除額の小さい方式であれば、簡易な記帳で足ります。白色申告の場合も記帳義務はありますが、複式簿記までは求められません。
つまり選択肢は「複式簿記をやりきる」か「何もしない」の二択ではなく、その間にいくつか段階があります。最大控除を狙って毎年挫折して結局何も残っていない状態より、簡易な方式でも1年分の記録がきちんと残っている状態のほうが、税額の面でも手間の面でも良い結果になることは珍しくありません。
よくある誤解:控除額や記帳の要件は税制改正で見直されることがあります。ご自身がどの方式を選ぶべきかは、所得の規模によっても変わるため、最新の要件を国税庁のウェブサイトで確認するか、税理士にご相談ください。
順番を変えると詰まりにくくなります
挫折しやすい人の多くは、いきなり「正しく仕訳する」ところから始めています。これは登山でいえば、装備も整えずに頂上を目指すようなものです。順番を変えると、だいぶ楽になります。
- 第1段階:残す レシート、領収書、報酬明細、請求書を捨てずに保管する。撮影でも構いません。
- 第2段階:分ける 入ってきたお金と出ていったお金を分けて記録する。金額と日付と相手先があれば十分です。
- 第3段階:まとめる 1年分を集計して、売上と経費の合計を出す。
- 第4段階:申告する 自分で申告書を作るか、集計結果を税理士に渡す。
第1段階と第2段階さえできていれば、第3段階以降は自分でやらずに済ませる道もあります。逆に、第1段階が抜けていると、どんなに高機能なソフトを入れても入力する元データがありません。会計ソフトで挫折した人の多くは、実は第1段階でつまずいています。
レシートが溜まっているなら、そこから手をつけます
すでに何ヶ月分か溜まってしまっている場合、全部を一度に処理しようとすると、また手が止まります。おすすめは、まず直近の1ヶ月だけやってみることです。1ヶ月分が終わると、自分にとって何が手間なのかが具体的に分かります。
それから過去分に遡ります。古い分は金額の大きいものから優先すれば、時間の割に効果が出ます。少額のものが多少抜けても、何も記録がない状態よりははるかに良い状態です。完璧を目指すと止まるので、まず動かすことを優先してください。
さかりばがやっていること
さかりばは、会計ソフトの代わりになるものではありません。複式簿記の機能はなく、決算書を作ることもできません。やっているのは、上でいう第1段階から第3段階までです。
請求書や見積書を作って、入金を消し込み、領収書や報酬明細は撮影して記録する。年度末に1年分を確定申告用のCSVとして書き出す。勘定科目や仕訳という言葉は出てきません。書き出したCSVは、税理士にそのまま渡すこともできますし、会計ソフトへの取り込みに使うこともできます。
つまり、会計ソフトを使いこなせる人にとっては物足りない道具です。そのかわり、会計ソフトで止まってしまった人が、申告のスタートラインに立つところまでは持っていけます。無料プランはクレジットカードの登録なしで使えるので、続けられそうかどうかを先に確かめてもらえます。
よくある質問
Q. 簿記の知識がまったくありませんが使えますか?
さかりばには仕訳や勘定科目の入力はありません。請求書を作る、入金を記録する、領収書を撮る、という操作だけです。簿記を学んだことがない方を想定して作られています。
Q. 会計ソフトからの乗り換えになりますか?
置き換えというより、役割が違います。さかりばは複式簿記や決算書の作成には対応していないため、青色申告特別控除の最大額を狙う場合は、さかりばで記録して書き出したデータを会計ソフトや税理士に渡す、という使い方になります。
Q. 何ヶ月も溜めてしまいました。今からでも間に合いますか?
まず直近の1ヶ月から始めて、それから過去に遡るのが現実的です。古い分は金額の大きいものを優先すると、少ない手間で効果が出ます。完璧に揃わなくても、記録が何も残っていない状態よりはるかに良い状態になります。
Q. 確定申告書そのものは作れますか?
さかりばでは作成できません。記録した売上と経費を確定申告用のCSVとして書き出すところまでが対応範囲です。書き出したデータをもとに、ご自身で申告書を作成するか、税理士にお渡しください。